電気の備蓄が底をつくから中部電力や関西電力からも送電を行うために..

2011 , 3月 18 日 金曜日

東北関東大震災でチェーンメールが飛び交っている。Twitterの【拡散希望】によるデマも多い。
その一つの「電気の備蓄が底をつくから中部電力や関西電力からも送電を行うために..」の事例を集めてみた。

衆知のことだが、電力会社レベルでの電気の備蓄などはできないし、国内の東西の電力会社の送電も簡単ではない。

今回停止した原発は東京電力の福島第1原発1、2、3号機、福島第2原発の1、2、3、4号機、東北電力の女川原発1、2、3号機、日本原子力発電東海第2原発の1基の11基だ。さらに東扇島、鹿島、広野、常陸那珂、大井など火力発電所5箇所の9基(715万kW)、水力発電所22カ所が停止し、発電能力が約3000万kWまで落ちた。

東扇島200万KW、鹿島400万kWは再稼働準備中だが、福島第1第2(計910万KW)の復旧は無理。廃炉寸前で現在休止中の火力発電所3カ所、10基約280万KWの再稼働が順調にできても電力供給力は最大4200万KW程度。夏場の需要5500万~6000万KWには届かない。冬の需要5000万kWにも不足する。
[※追加注:広野火力発電所(380万kW)と、常陸那珂火力発電所(100万kW)は津波で損傷。短期間での復旧は難しい。]

融通してもらえる電力は中部電力経由の100万KWのみ。東北電力は女川原発217万KWのほか3発電所4基が停止。東通原発1号機(110万kW)は定期検査で停止中だった。北海道電力の60KWは東北電力への融通となる。

日本の電力会社は2つの周波数に分かれており、異なる周波数の電力はそのまま送電することはできない。
商用電源周波数は 50Hzが北海道電力、東北電力、東京電力。60Hzが中部電力、関西電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力である。

50Hzから60Hzへの電力融通は、周波数変換設備を介して行う。周波数変換は東西の境目にある佐久間周波数変換所、新信濃変電所、東清水変電所の3カ所の変電所で行うことができるが、変換能力の合計は100万KW。東京電力の概算供給不足分の1000万KWには中電からの電力融通分100万KWが折り込み済み。この時期に余裕がある北海道電力は13日から北本連系限界である60KWの電力融通を海底ケーブルで東北電力に行なっている。

「電気の備蓄が底をつくから」を報じるサイト

「関東 電気 備蓄」でGoogleの検索結果より

これはちょっと別口だ。

政府や東電が発表する放射線量測定値などの公式報道は信用せず、出所のわからない根も葉もない話をきいて「なんと驚いた情報です!日本では物資の空中投下が認められていないんだそう!(略)わたしは今これを知り怒りで全身が震えてます」と信じ込んで、「みなさんリツイートをお願い!」とインチキ情報を広げてしまう政治家人脈自慢の人だ。(自慢は妄想かもしれないが)

「知らざるの罪」というのがあるそうだ。だが、コメントで指摘されても「いいことだから」と我を張っているサイトもある。サムネールを並べて見ると、デマを飛ばしているサイトの運営者にある種の共通性があるようだ。

電気は備蓄できないが、水は貯められる

石油ショックのときのように、深夜のTVの放映を中止は行わないのだろうか。

火力発電所は深夜の発電を休止することで燃料を節約することはできるが、発電能力を上げることはできないので深夜の節電はあまり意味をもたない。

「電気の備蓄が底をつく」のデマで、電気は貯められないと刷り込まれて脊髄反射する発言が多いが、大規模に電気を貯めることはできないが、水は貯めることができる。

原子力発電は連続運転だから揚水発電を併用している。夜間に余った電力でダムに揚水し、需要時間に合わせて水力発電を行っているのだ。TVの放映を中止で揚水量が増えれば昼の発電量が多くなる。貯水式の水力発電も夜間の発電量を落とせれば、水量が温存でき日中の最大発電量の持続時間を延ばせそうだ。

深夜のTVの放映中止は多少なりとも効果がありそうだ。いやショッピング番組ばっかりの日中だってテレビの放映中止しても構わないだろう。

将来的な対策の一つはスマートグリッドの構築だろうか。
これなら、緊急時に各人の電気自動車のバッテリーからグリッドを通して電力とすることができる。課題はやっぱり蓄電池。

 

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