異様なほどの菅降ろし、内閣不信任 その裏には

2011 , 5月 31 日 火曜日

自民党に民主党まで参加して、菅叩き、菅降ろしが異様なほどの騒ぎになっている。

5月31日の衆議院震災復興特別委員会での自民党大島副総裁の「あなたが総理をやめたならば、われわれはスピーディーな復興のために、新しい政治体制をつくる用意があります。ですから、あなたに、この席をお辞めなさいというんです」という発言に奇異な感じを受けた人も多いだろう。菅首相の退陣と引き換えに協力すると言いだしたのである。

千年に一度の大震災にくわえ史上3度目の原発事故が重なっている非常時に、辞めさせてどうするのか、辞めさせる理由は何かなど、得意の追求場面の常套句「説明責任」などおくびにも出さない。

「一日も早く退陣を」「一日でも早く交代を」「菅首相のすべてがダメだ」と自民党はおろか民主党の中でも声が出るが、こちらも次はどうするかのビジョンは全く出さない。誰がやればうまくできるかの名前も出てこない。

辞めさせることが目標

菅首相を辞めさせることだけが目標で、とにかくそこに菅がいなければよいようなのだ。

菅直人が首相をやっていては、よほど困ることがあるらしい。
マイクを向けられると、涙ながらにしゃべりだす被災者がいるのである。
国民目線で見れば、「国会こそ原発事故調査委員会を作って原因究明と対応の検証をするべきだろう。復興を妨げるつまらん法律もなんとかしないと。なんでこんなときにバカなことばっかりやるのだ」と思えるのだが、重大なウラの理由があるらしい。

        菅首相の存在が困る理由は、「金」である。

阪神大震災もそうだったが、震災の復興のために需要が増える。いわゆる震災特需である。合わせて原発の復旧特需にも国の金がじゃぶじゃぶとつぎ込まれる。ダム一つの建設費とは比べ物にならないくらいの金額である。
政治には金がかかる。いままではこのような棚からぼたもちの金を、巨大企業と下請け孫請けの連合体、それを国会議員などが調整して分け合う仕組みができていた。

だが、「市民運動」上がりの菅首相は、今回の震災でこのような仕組みを無視して、震災復興、原発復旧を進め始めている。つまりウマい汁にたかれない状態になっているのだ。
利権に手を出せなくなった勢力が、内閣不信任で菅内閣を取り除こうと画策している。

自民党のときなら話は早い

マスメディアも政治家の息がかかっているらしく、世論調査も菅内閣に意図的に絞られているのがミエミエである。

以下のアンケートをとってもらいたいものである。
「内閣の原発関連の発表について」

信用できる
信用できない
わからない

以下同じ
「原子力安全・保安院の発表について」
「原子力安全委員会の発表について」
「東京電力の発表の信用性について」
「自民党政府の原子力政策について」
「原発推進議員の意見について」
「原発推進派学者の意見について」
「原発推進企業の意見について」

「国会の菅降ろしについて」

妥当だ
妥当でない
わからない

以下同じ
「国会の原発事故調査委員会の立ち上げについて」

しかるべき体制は角栄大センセイが構築してあるのだ。民主党にも直系のセンセイがいる。

「うちは三重県の企業だから東北の仕事はとれないなぁ」
「これじゃ復興の仕事がもらえない」などとしぼんでいると、
「小沢山事務所の了解が得られれば大丈夫だ。ここはひとつ先生の力を借りるしかないぞ」と会長が知恵を出す。

そして、
「先生、○○市の復興にぜひ参加させてください」と会長はじかに陸海会に頼み込むのだ。
「お前の会社は同業者よりもあいさつが遅いぞ」などと先生も初めはいうが、
「お歳暮に松阪牛と小判100枚をお届けします」「こんどから月一回、向島の料亭でお食事しましょう」などといいながら、金額をまとめると、
「よし、まかせておけ」と胸をどんと叩いて引き受ける。

さっそく霞ヶ関に出向き、
「東北といえばすべてがワシの故郷だ。○○市の復興だが工事はどのように進めるのだ」と聞けば、
「エーと」などと官僚は口ごもる。
「もたもたしていたら地域が死んでしまう。ワシが調整しよう。スムースに進められる企業を知っている。故郷のためだ」といって議員先生は仕切るのである。

議員先生は事務所に戻り、早速電話を数本かける。
「今度の○○市の仕事は氷谷建設にやってもらうことになった。おまえのとこはこの次にしろ」などと、受注したがっていたほかの企業に連絡をまわすのだ。

そして氷谷建設に「陸海会の小沢山だが、会長はいるか」と電話すれば、受付嬢は恐れおののいて電話をもって会長のところまでひた走る。
「おい、霞ヶ関に話を付けたぞ。ほかの会社も大丈夫だ」と氷谷建設の会長に話すと、
「先生おありがとうございます。秘書のかたとホテルのロビーで合わせていただきます」となって、
「おい常務。土地購入や中古機械の売却で作った例の裏金から5千万円ずつ3つにわけて用意しろ」と会長は経理担当の常務に指示を出すのである。

常務は下請けの国際発破技研の社長を連れてホテルのロビーに向かう。
手提げの紙袋の中の茶色の紙包の中身は5000万円の札束である。菓子折りの下に小判を入れていたのは昔のことで、最近は情緒が失われているのである。
フロントの前のロビーで二人は太久保秘書と会い、ロビーで談笑しながらテーブルの下から紙袋をそっとわたす。

はやくしないと金が逃げていく

いままではこんな感じで、国の事業と受託企業の調整が丸く収まっていたのだが、菅首相は……

もちろん当然つづく

………. . . . この話はフィクションです。
「小沢山先生は恐い人です。反抗した人は許しません」と大石川議員もいうぐらいだし。

 

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