ヌーランド国務次官補の電話会談リーク

2014 , 2月 08 日 土曜日

ソチ五輪、開幕の直前、アメリカ政府高官で欧州・ユーラシアを担当するヌーランド国務次官補の電話が傍受されインターネットにリークされた。

Youtubeに投稿されたのは、ヌーランド/Victoria Nuland国務次官補がキエフに出発する前日にジェフ・パイアット/Geoff Pyatt駐ウクライナ米国大使とかわした電話の内容だ。

СБУ выложила в сеть разговор Нуланд и посла США в Украине

動画には、英語の会話にロシア語のテロップがついている。(Youtubeではドイツ語の機械翻訳のサービスを行なっている。)

ヌーランド国務次官補の”What do you think ?”からはじまる会話は、6分18秒ほど続き、”OK, OK” と挨拶で終わるが、2分50秒あたりに、ヌーランド国務次官補が、「午前中にジューク・フェルトマンと話したとき、国連に新しい名前が挙がっていた。ロバート・セリ/Robert Serry(元駐ウクライナオランダ大使)よ。彼はいまやセリとハンギブンの二人とも説得したわ。月曜日か火曜日に来るかも知れない。うまく調整してくれると思う。国連が調整に乗り出してEUヨーロッパ連合を懲らしめてくれるなんて素晴らしいことじゃないの。EUなんかクソクラエ(Fuck EU)よ。」というくだりがある。

電話の内容は、ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領に提案した新政府のポストには、副首相になりたがっているクリチコはだめ。チャフニボークもだめ。経済問題や管理問題で経験を持つヤツェニュクを入れようという話である。
早い話が、米国はウクライナに圧力をかけて現政権を退かようとしていて、米国の動きを妨げるEUを国連に抑えてもらい、新政府には米国に都合の良い人物を入れようという画策なのだ。
話中のRobert Serryはオランダ人の外交官、国連でイスラエル-パレスチナ間の中東和平プロセス担当の特別調整官を務めた人物である。

電話会談リーク記者会見でのヌーランド国務次官補のコメントは「録音が非常に鮮明なことに感銘を受けた」というものだった。

EUと米国はウクライナをロシアから引き離そうとしているが、両者は一枚岩ではないという状況を示している。
そして、ウクライナとEUの連合協定調印にまったをかけたロシアは、EUとウクライナの間にくさびを打ち込む力だけでなく、NSAと同じような通信傍受能力をもっていることを証明してみせた。

さらに、ヘルガーシュミット対外報道局事務長とウクライナ駐在のコンビンスキEU代表の電話会談も盗聴され、ネットに載った。
こちらは、アメリカ政府がEUにかける圧力をEUが嫌っている内容だ。

ウクライナの反政府派ものんびりしてはいられない。シリア反体制派が資金潤沢なアルカイダ系のISIS(イラクとシャームのイスラム国)の台頭により内部抗争が始まっているように、ウクライナもネオ・ナチ、チャフニボークのスボボダ(全ウクライナ連合『自由』)にかき回され収拾がつかなくなりつつある。
その上、EU、米国、国連が非難しあえば、さらに時間が浪費されていく。
バリケードの土嚢袋に詰めた氷や雪は、春がくれば溶けて消えてしまうのだ。

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