海老蔵に負けたウィキリークス

2010 , 12月 22 日 水曜日

Wikileaksの外交公電の暴露ニュースが急にメディアにでなくなった。
テレビは海老蔵の喧嘩の話をずっと引き延ばして食いつないでいる。

新聞はというと、例えば22日の読売新聞のホーム/トップページには「ウィキリークス」の記事紹介が見当たらない。サイト内を検索して出てくる記事は、17日付けの「アサンジ容疑者、英支援者の豪邸に到着」が最新である。

朝日新聞のトップページにもウィキリークスの記事の紹介はない。それでも「ウィキリークス特集」のページに21日付の「福田元首相の台湾不支持、日本大使館も驚いた 公電暴露」、「米副大統領『アサンジュ容疑者はハイテク・テロリスト』」、「ダボス会議にWL編集長? 主催者が招待意向、実現困難」の記事3本があるが、その前の記事は17日付である。

"Wikileaks" declared English language Word

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毎日新聞のトップページにあるのは「ウィキリークスを英単語認定」で、”wikileaks”という単語が3億回以上使われたので、新たな英単語としてグローバル・ランゲージ・モニター社が認定したという「雑記帳」に載せた記事である。ウィキリークスに関する記事は検索しないと探せず、検索で現れる最新のものは12月21日の、「『世界でウラン密売』 テロリスト利用の恐れ」という記事で、19日のガーディアン紙を引用している。

マスメディアの群れはWikiLeaksから別の興味に一斉に移ってしまったらしい。

「まことちゃん」(梅図かずお)に出てくるような風景だが、幼稚園児たちは実際にこのような行動をとる。

遠足で動物園に行った幼稚園児たちが園に入るや一団になって走り出し、「ぞうだ、ぞうだ!。キャハー」と象の柵に群がった一瞬の後に「キリンだ、キリンだ!」とキリンの柵に向かって走り出す光景と同じである。
Apple Removed a WikiLeaks App
この現象は日本だけでない。
ニューヨークタイムスも、”Wikileaks”の検索をかけると、トップはTIMES TOPICSにある Wikileaksについての説明である。
2番目は”Why Apple Removed a WikiLeaks App From Its Store”という「アップルストアにあったWikileaksと WikileaksのツィッターをみるiPhoneとiPad向けのアプリを火曜日に外した」という記事。3番目が元KGB要員の死について外交公電をWikileaksが発表したというものだ。

    Sex and
    WikiLeaks

LAタイムスもトップには外交公電の暴露話はない。 “Wikileaks”でサイト内を検索すると、トップはジュリアン・アサンジの顔写真と共に「Sex and WikiLeaks」という記事の案内がでるが、ページが掲載されているのは「LAタイムスの主張」コーナーで、「ジュリアン・アサンジに対するレイプの告発は興味深い問題だが、アサンジは情報をリークする役割を果たさないじゃないか」と皮肉気味の内容である。

あまり寂しいのでもうリークしてないのかと思ったが、アサンジと提携したGuardian紙はつぎつぎと米国外交公電のページを増やしている。

Bangladeshi 'death squad' trained by UK government

    自警武装
   集団を訓練

最新記事は、「Bangladeshi ‘death squad’ trained by UK government/バングラデシュの『殺し屋集団』はイギリスの政府によって訓練された」という見出しで、バングラデシュの自警武装集団Rapid Action Battalionを訓練していたという内容。オリジナルの外交公電の掲載がないので、ソースがどのようなものだった、どこまでがソースに準じた記事か分からない。
この記事のソースをWikileaksのCable Viewerで探すが見つけることができない。

US embassy cables & WikiLeaks cables

    左 US embassy cables
    右 WikiLeaks cables

シリアのスレイマン准将が地中海沿岸の都市タルトゥースで銃撃により暗殺された事件の裏にイスラエルがいるというリークは、外交公電(左)とそれをもとにした記事(右)が掲載されている。
外交公電のリークページは、”US embassy cables: “が、それに関する記事のページは”WikiLeaks cables: “が見出しについている。

知ってるのがいるとアサンジが言ったドイツの週刊誌シュピーゲルは、「WikiLeaks Diplomatic Cables」というぺージを作っているが、外交公電ではなくWikiLeaksやアサンジについての記事が多い。ニューヨークタイムスとガーディアン紙のリンクが張ってあり、そっちを見ろといっているようだ。公電の対象地域を書いた地図があるのだが トロいFLASHで見る気がしない。

なんか世界中でWikileaksをスルーし始めたようで盛り下がってきた。旬をすぎるとこんな扱いになるのだろう。Wikileaksのツィッターページも書き込みが減っているどころか、ラップのCMまで入り込んで荒らされる有り様だ。

目立ちたがり屋のアサンジの一番気に入らない展開になりつつある。
今は手持ちの情報をチビチビ見せている状態だが、みな小出し情報に慣れてしまいニュースネタにならなくなっている。リークの元がもっぱら大口の一人だけで新しい燃料確保はままらない。

マスメディアは人目を引くためにWikiLeaksの暴露記事を利用したが、外交公電の情報はうわさの生情報レベルであり玉石混淆だからそのままでは使えない。分かっている人は情報が増えるから役に立つ。リーク情報に登場するプロにとってはどう反応するかもテクニックのうちなのだ。

もっとインパクトのある爆弾を破裂させないとWikileaksは話題を取り戻せない。でも「リークで誰かが死んだのか」といってるアサンジにとって、人が死ぬほどのインパクトのある暴露はジレンマになるのだ。

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