えー、中国は食料輸出国じゃないんだ
2008 , 3月 23 日 日曜日車も牛もトウモロコシを食べるのだ
中国は、トウモロコシも輸入する国になりそうだ。2007年の生産予測が14,500万トンで、消費予測は14,800万トン。ということは300万トンが足りないのだ。在庫が2,860万トンあるから100万トン輸出できる見込みだけど、消費量が毎年500万トンくらい増えてるから2008年は足りなくなるかも。
いま中国じゃ牛乳飲むのが流行っているのだ。森永乳業と雪印乳業みたいのができて互いに競って「牛乳飲むのが最新流行」みたいに大々的に宣伝して、オリンピックの公式スポンサーにもなってる。乳牛1頭だけ飼ってる人のとこにまで牛乳の買い付けに回って、両方の会社が争ってるのだ。ということは、牛を増やさないとだめで、牛はトウモロコシと大豆(ミール)などの飼料用穀物が大好きなのだ。
食料供給予測だと中国は小麦を2003年は3.7百万トン、2004年は6.7百万トン、2005年に百万トン輸入してる。2006年の見込みは40万トン、2007年の予測は20万トンだ。
穀物を買うのは中国だけじゃなくて、バイオ燃料屋さんも買っているのだ。
一番トウモロコシを作っているのはアメリカで、世界中のトウモロコシの4割を作っている。アメリカはバイオ燃料作るのに補助金出してて、しかも石油の値段がウナギノボリだから、「石油が高くなりゃバイオ燃料は稼げるぞー」っていう連中がトウモロコシをガンガン買って燃料作ろうとしてる。だから買えるトウモロコシはどんどん少なくなる。少なくなれば奪い合いだから金を積まなきゃ買えなくなる。ということでトウモロコシの値段はどんどん上がるのだ。
エタノールというのは酒なんだから、トウモロコシならバーボンだけど、ウイスキーなら麦だ。焼酎なら、イモ、コメ、トマト、レタスもありじゃない。テキーラは竜舌蘭だっけ。
それを見て「おっ、トウモロコシいい値段じゃん。豆なんか作るのやめてトウモロコシを作ろう」「おっ、トウモロコシいい値段じゃん。小麦なんか作るのやめてトウモロコシを作ろう」という農家が増えて、小麦や大豆も少なくなって値段が上がっているのだ。しかもトウモロコシは作るのに水がたくさん必要になる。
貴重になれば高いのだ
日本は自分ちで作ってる食料が少ないからよそから買ってる。買わなきゃ食えないから買うんだけど、「日本はいくら高くても買う!」って世界じゃ思われてるらしい。
日本の買い付けは商社とかだから中国と比べれば迫力に欠けることになる。中国は、食料を戦略物資として国が主導して生産国と買う約束するんだから、いざとなれば財務省や農水省や日銀がまとまって買うようなもんだ。
いまのころ日本はお金があるから少し高くても買えるんだけど、買える小麦が少ないから値段がどんどん上がっている。2月終わりには去年の5倍の値段がついたのだ。5倍だよ!
高い小麦や大豆を買えば仕入れの値段が上がるので、会社は商品の値段を上げて赤字にならないようにするのだ。
というわけで、値上げのラッシュが始まっている。
山崎製パンは、去年の12月に食パンや菓子パンを8%値上げした。日清食品はインスタントラーメンを1月に10円から20円値上げした。パスタは3月から最高40%の値上げ。これは小麦の値段が高くなったから。
牛乳やバター、チーズも5%から10%の値上げ。これはトウモロコシと大豆が高くなったから。
食用の油も1月から10%、醤油もキッコーマンが3月から11%値上げ。これは大豆が高くなったから。
「大豆油がだめなら、菜種油があるさ」ってのもキツイらしい。菜種作って売ってるのは、カナダ、オーストラリアなんだけど、大豆よりもっと危ないらしい。大豆が値上がりしてるもんで、油をとれる菜種やゴマやベニバナなんかの「種油」の値段もどんどん上がってて、しかも大規模に作っていなかったり、暴動だったりゲリラだったりで輸送ができなくなったりして、いつどうなるかわからないんだって。
中華料理といえばゴマ油だから、ゴマなんて少なくなれば、あっというまに中国に買い占められそうだ。
しかも2008年2月、中国の菜種は大雪と寒波の被害にあったらしいぞ。(米国農務省穀物等需給報告 2008/03/11)