食料危機なんだよ

2008 , 4月 11 日 金曜日

日本じゃ例の毒入り冷凍餃子事件で、中国が日本向け食材の輸出を止めてるから中国産野菜が不足だぁなんて余裕っぽいけど、世界は食料危機なのだ。

最近外国のTVが、食料危機のニュースや特集を結構やってる。

米ABCとドイツZDFは、ハイチの大統領宮殿に押しかける暴動を紹介していた。

ハイチでは、1年の間に米は147%、穀物は47%、酪農品は80%も上がったのだ。食料品価格が上がって買えなくなって怒った人々が大統領宮殿に押しかけたのを、警察が鎮圧しようとして暴動になっているのだ。

中米ではこの1年で、小麦とトウモロコシの値段がおよそ2倍になった。

エジプトでもパンの値上がりで暴動がおきた。調理油と食費はこの1ヶ月で2倍になったそうだ。ソマリアも乳製品や穀物が2倍になった。アフガニスタンでも1年で小麦の値段が60%値上がりした。

アメリカでも、朝食を例にすると、パンが11%、卵が19%、コーヒーが16%、ミルクが20%値上がりしているのだそうだ。

以前は食料不足というと食料の生産不足が原因だったけど今は生産量は十分あるらしい。それでも食糧難が起きる原因は、食料の大部分がバイオ燃料に使われてしまうからだという。

小麦農家がトウモロコシに転作して、小麦の生産量が落ちている。だから小麦は今までの最高値になっている。トウモロコシは生産量が増えてもバイオ燃料向け取引で高騰している。家畜の餌に使われていた穀物の高騰があらゆる値上がりを引き起こしている。加えてガソリンの値上がりで輸送費も上がっていると経済誌の編集員がしゃべっていた。

おまけに穀物を餌にする家畜が増えている。

国連のWPF(国連世界食糧計画)のBettina Luescherさんは、いままで米や小麦を作っていた農地でトウモロコシやサトウキビが栽培されている。バイオエタノール向けに使うトウモロコシの栽培に変わっていると言っていた。

先進国が小麦やめてトウモロコシを作ってエタノールにしちゃうから、食べるための米や小麦が減っての開発途上国は食料不足になっちゃう。足りなくなれば値段が上がる。お金のない途上国は食料が買えなくなるっていう寸法だ。

インドは米の輸出を禁止した。インドは8億人の人たちが1日2ドル未満で生活しているから、高い食料は買えない。自分たちで作った米は輸出しないで自分たちで食べることにしたのだ。

インドは2006年に米の輸出で世界第3位 14.4%を輸出していた国だから、輸出をやめた結果、世界の米の価格が上昇している。

世界の食料品の値段は1年足らずでは55%上がったそうだ。アメリカは10%だけど開発途上国では最大で80%上がったそうだ。

100円のパンが180円になったってことだよ!

まずいことにそういうところの人たちは、一日2ドル以下で生活しているのだ。そんなに高い食事ができるわけないから、買えない人が続出して暴動が起きるのだ。

BBCでもレポートをやっていた。

イギリスでは、1年でバターが60%、パン17%、卵が33%値上がりしているそうだ。

そして、小麦の産地、オーストラリアのサイロを紹介していた。例年なら野球場みたいなサイロの中に半分位は小麦が入っているそうだ。でも、干ばつで収穫がいつもの1/10しかないから、中国とインドの小麦需要が高まる時期なのに、巨大なサイロの中は空っぽだ。

その中国では2006年に小麦の値段が20%も上がった。

買えなくなると抗議行動が起きるから、主食の小麦は国営の製粉所で製粉して国の倉庫にしまっているのだ。

4月上旬に人民元が1ドル6元台になった。人民元が強くなると輸入しやすくなるから、中国はブラジルやアルゼンチンからの食料が買いやすくなる。食料を戦略物資として国が主導している中国じゃ、ますます外国からの食料の買い付けが楽になるのだ。

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