農協(今はJAというのだ)の人たちと会った
2008 , 4月 25 日 金曜日農協の集まりがあって、そこで農協のひとに「食料危機の騒ぎで、タイもベトナムもインドも米の輸出を止めてる。今日はカンボジアが米の輸出をやめるといっていた。小麦もトウモロコシも大豆もどんどん値段があってるけど、米にどんな影響がでるのだろう」と聞いた。
答えは「日本は米を輸入しているが同量を輸出している。生産過剰で米価は一番高いとき22000円/俵になったが今は半値になっている。去年も34万トンを備蓄で買い込んで米価を14,000円にした。備蓄は100万トンを超えている。隣の市にある農政事務所の倉庫には新潟の米が積み上げてあるありさまだ。豆は生産者からの買い付けは3,000円/60kgだが、国産の大豆は人気があるので市場では15,000円で取引されている状態だ。小麦も同じ状況になっている。日本の農業は、かろうじて農地の維持と確保するという状況だ。」というものだった。
穀物の国際関係による影響を聞きたかったが、国内生産者と政府の話に終始するのでこれ以上の質問はやめた。
お開きになった後、支所長にも聞いた。
支所長は「世界的に米の輸出は減っている。輸入国には深刻な問題になっている。バイオ燃料もあってトウモロコシは不足傾向、小麦も大豆も同様で穀類の需給のバランスが変わってきている。しかし国内米は、米の消費が伸びないから国内の米作は減反しないと価格が維持できない。減反も千葉や福島など消極的な県があって足並みが乱れる。
米中心の食事は、食のコストを下げることができるが、米の食事は手間がかかる。無洗米が出たとき手間が減ったことで米の消費は大幅に上がった。手間がかからず簡単に作れる食事が喜ばれ、パンはバターだけあれば食べられるから家庭ではパン食が多くなる。その結果いまでは、パンを食べることが食事をすることと思っている子どもたちがとても多い。その子どもたちが家庭を持ってまたパン食の子どもが増える。そして米の需要は下がり、生産量もそれに合わせることになる。
パンの原料の小麦は、輸入先のオーストラリアの生産量が、4年続いた旱魃で激減している。今年の天候がどうなるかだが、離農が増えているので天候に恵まれても前のような生産にはならない。国産小麦は、小麦の価格も160%あがってもまだ輸入小麦の価格に太刀打ちできない。生産規模が違い生産効率が違う。」とのこと。
さらに「食料自給の対策で、減反政策はいつでも増産できるよう畦の草刈りなどの管理をしておくことになっている。だが、保全状況はもう期待できない。いまの自給率では日本も食料危機の危険はとても大きい。しかし国内の農業問題は複雑で、効果的な手を打つことは難しい。結局自分自身の対策として自分で防衛するしかないだろう。田舎に住んで、できるだけ自給できるのが一番になりそうだ。」といっていた。
農家は、いままでずっと「もう米を作るな。米を作るのは罪だ、能無しだ」と転作の圧力をかけられてきた。
国のためだからと減反して田んぼの一部に稲苗を植えなければ、そこはもうホタルイなんかの雑草がびっしり生える。
数週間おきに田んぼに入り、水の中で雑草をとらなければ田んぼ中に雑草が広がる。減反で収量が減るから収入が減って、おまけにうんざりする作業が増えるのだ。そんなこと1年もやれば誰でも嫌になるから、田んぼをつぶして野菜などに転作することになる。
野菜に転作すれば、畦なんか誰も手入れをしない。水はけをよくするのに邪魔なしろものだから、トラクターで壊して平らにする。稲作で使う水路も畑には不要だから灌漑に使える程度にしか保全をしない。
政府が「まずい! 米が足りない。即作れ!」といっても米なんか作れる土地はありゃしないのだ。
だいたい、何年もかけて米作より面積あたりの収入を上げるように、野菜だって花卉だってハウスを造ったり培土を入れたりいろいろ投資しているのだ。それを全部捨ててさらに金までかけて儲からない米を作れっていわれて、作る人がいるわけがない。
トウモロコシの価格があがれば、小麦や大豆をやめてトウモロコシを作るようになるアメリカの農家と同じだ。
田舎の農家じゃ、戦争中に米の供出を命令されて、農家なのに自分で食べる米さえなくなってサツマイモばっかり食べたという話を怨念まじりで未だに聞く。
その後もノーセイに振り回され続けて不満が膨張中で、政府のいうこともその尻馬に乗る連中のことも信用していない。
「今度という今度は、ひと泡吹かせてやる!」という気持ちだってあるのだ。